ぼくのほしいもの(クロルフ♀、ちびマーク)
「とーさんかーさん、ぼくたんじょーびにはおとうとがほしい!」
「「?!」」
無邪気に、それはもう満面の笑みを浮かべて爆弾発言を繰り出した末っ子に、両親は揃って盛大に動揺した。
クロムは勢いよく立ち上がりかけてテーブルの脚に身体をぶつけて悶絶し、ルフレは口元へ運びかけていたパイをカトラリーごと大きな音を立てて落とす。
「い、いやいやいや、あのな、<マーク>? 確かに欲しいものを教えてはほしかったんだが、その、それはだな……」
「??? おとうとはだめなの? いもうとでもいーよ?」
「うん、まあ……性別は問題じゃなく、そのー……なんだ、……」
助けを求めて隣の妻を見るも、ルフレは未だに顔から火を噴く勢いで赤面したまま硬直している。頼みの軍師があてにならない以上、この難局を独力で乗り切らなくてはならないのだが……。
(あ、赤ん坊というのはコウノトリが……いや、少し早いが雄しべと雌しべの話をするか……ええい、こういう時はいったいどうすればいいんだ……!)
邪竜を打ち倒した英雄も、我が子の邪気のないおねだりの前ではたじたじである。
今日も今日とて、イーリスは平和だった。
※コメントは最大1000文字、5回まで送信できます