わたしたちのだいすきなもの - 1/4

 

 三の月二十九日

 いつもふらふらどこかにいっているまーくにいさんがひさしぶりにかえってきました。わたしもまーくもうれしくっておおはしゃぎ! ねえねえにいさん、にいさん、かたぐるましてください! かたぐるま!

「はいはい、分かってますよ。うんしょ、っと。わあ、重くなりましたねえ、マークも」

 えー! ひどいわまーくにいさん。れでぃにたいじゅうのはなしはげんきんなんですよ! もう、そんなだからおんなごころがわからないっていわれるんです。

「うーん、ぐさっとくる台詞です……

「でも、にいさん、ちゃんとまいとしこのひにかえってくるじゃない。てがみだっていっぱいかいてるし」

 ち、ち、ち。あまいです、まーく! とうさんとかあさんをかんがえてみればわかるわ。とうさんはまーくにいさんみたいにまめじゃないし、くちだってうまくないでしょう。でもかあさんはそんなとうさんにめろめろ!

「め……ど、どこでそんな言葉を覚えてくるんですか、君は」

 んもう、にいさんだまってくださいっ。おとこのひとのくちかずって、おおければいいってものじゃないんですよ! そう、とうさんみたいにここぞってときにびしっときめるほうが、おんなごころにはきくんですから!

 ……あーっ、しょーらいはかあさんいじょうのてんさいぐんしになるよていの、わたしのことばをうたがってるの、にいさん? それなら……ええいっ。

「わわっ、やめてくださいよ。これから会いに行こうとしてたのに、髪の毛がぐしゃぐしゃじしゃだ」

 いいんですー。これでちょっとはおとこまえになったわ。ねえまーくにいさん、いつもよゆうなふりしてたらだめですよ。たまにはひっしなところもみせなきゃ。すきならすきってちゃんというの! おとこはあたってくだけろです!

 ふえ? くだけちゃだめ? ……うーん、そういえばそうよね、まーく。わたしにいさんがだいすきだから、しあわせになってほしいし。くだけちゃったらまずいわ。これはあれです、ことばのあやとり! あれ、にいさんどうしてわらってるの?

「ぷくくく……、それを言うなら言葉のあや、でしょう。でもありがとう、マーク。僕も君が大好きですよ」

「にいさん、にいさん、ぼくは?!」

「もちろん、マーク、君のことも。二人とも、僕の大事な家族です」

 ふふ、くすぐったいですー。そうね、にいさん。かぞくっていいことば。おひさまのしたでおひるねしてるみたいな、ぽかぽかしたきもちになるの。

 かぞくがふえるとうれしいから、がんばってくださいね、まーくにいさん。

「はいはい。かしこまりました、姫君」

 こういうときのまーくにいさんのわらいかたは、じつはけっこう、ううん、とってもかっこいい。まーくも、おとなになったらこんなふうに、わたしいがいのおんなのひとにわらってあげたりするのかな。……なんだかちょっともやもやします。

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