似合わないとは言ってない(ちびクロムとちびルフレ♀、FEH)
「…..さっきはその、悪かった」
ノックの音にドアをそっと開くと、クロムがぶっきらぼうにそんなことを言ってきた。
「…………別に、いいですよ。謝っていただかなくて。確かにドレスなんて私には似合わないですし……」
クロムと目を合わせないまま、小さく返す。
今日のルフレの服装はいつもの上衣とスカートではなく、シャロンが幼少期に着ていたという子供用ドレスだ。
瑠璃紺の、滑らかな光沢がある生地で仕立てられていて、袖の肩側がふんわり膨らんでいるのとスカート部分にたっぷりレースやフリルが使われていて可愛らしい。シャロン王女が幼少期に着ていたものを、もったいないから着てみてほしいと侍女による着付けや髪結いまで込みで貸してもらえたのだが……。
(……クロムさん、この格好をした私を見て開口一番に『その裾じゃうっかり捌きそこねて転びそうだな』ですもん。女の子がおめかししたら一応は褒めるのがマナーだと思うんですけど、私はよっぽど似合わないってことですよね……)
物語のお姫様のようなドレスに高揚していた気持ちは急にしぼんでしまって、それから何故か一向に上向かない。早く着替えてしまいたくて、クロムに帰ってもらおうと扉を閉めようとしたら阻まれた。
「べ、別に、似合わないとは言ってないっ」
「え……っ」
どきん、と心臓が跳ねた。
「動きづらそうだとは思うが…………まあ、その、出撃や訓練がない日にはそういう格好も……いいんじゃないか」
クロムの顔は妙に赤い気がした。廊下には夕陽が差し込んでいるからその所為かもしれない。
「……なんですか、それ」
呆れた風に言って口を尖らせながらも、いつの間にかルフレの気分の落ち込みはなくなっていた。クロムと同じくらい顔が赤くなっている気がしたけれど、夕陽の所為にしておいた。
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