焼き芋ワルツ(現パロ、クロルフ♀)
ついこの間まで暑い暑いと言っていたような気がするのに、いつの間にか頬を撫でる風は冷たい。もうすっかり秋も深まり、温かい飲み物や食べ物が恋しい季節だ。
近所のスーパーへ二人で買い出しに出掛けた帰り道、公園に差し掛かったところでぐーきゅるる、と可愛らしい音が至近距離から聞こえた。ぴたっ、と彫像にでもなったように隣のルフレの歩みが止まる。
「……き、聞こえました?」
「そりゃあまあ、結構大きな音だったしな。小さい怪獣みたいでかわ――――っ痛!」
「もう、クロムさんのばかばかばか! デリカシーが無いです! そういう時は聞かなかったフリをしてくれるのが優しさですよっ!」
ぽかぽかぽか、と顔を真っ赤にして可愛らしい攻撃を仕掛けてくるルフレは若干涙目だ。腹の虫が立てた音を聞かれたのが恥ずかしかったらしい。妻の恥ずかしがる基準が未だに謎なクロムである。
ぷりぷり怒っているルフレも可愛い、と一年中脳内が春のままなクロムがにやけていたら、彼女はリスのように頬を膨らませて本格的にすね始めたので、慌てて公園近くで売っていた焼き芋を買って進呈した。
二本買ったのに、何故か「半分こして、大きい方をくれたら許してあげます」と言われたのでその通りにしたら、食べ終わる頃には機嫌が直っていた。空腹が満たされたからだろうか……としか思わないクロムは、やはり微妙に女心が分かっていない。
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