初デート(現パロ、クロルフ♀)
今日は妹のリズにねだられて、神社で行われる夏祭りへ連れて行くことになっている。リズの親友のマリアベル、不良に絡まれているところを助けたのが縁で知り合った少女――ルフレも一緒だ。
やたらと張り切っていた妹にそこはかとない不安を感じつつ、指定された待ち合わせ場所へ向かう途中、もうすぐ到着するというところで携帯電話の短い着信音が鳴った。メールが届いた知らせだ。
――――お兄ちゃん、頑張ってね!
書かれていたのは短いその一文と、妹らしいカラフルな絵文字のみ。何のことだと首を捻ったクロムだったが、すぐに理解する。待ち合わせ場所には、浴衣姿のルフレがひとりで所在なさげにんでいたからだった。
(リズお前な……っ!)
脳内で舌を出す妹へ盛大に文句をぶつけても、状況は変わらない。ほっそりした肢体を包む藍地に朝顔を散らした浴衣、後ろでまとめてお団子状にした髪には珊瑚色のかんざし。蒸し暑い夏の夕暮れに現れた、いつも以上に可憐で妖精のような少女に惹かれていないと言ったら嘘になる。
その気持ちを見抜いている妹が、四人で夏祭りに行くと見せかけて、クロムとルフレが二人きりになるよう図って発破をかけてきたのだろう。
だがルフレに迷惑をかけるのはいただけない。それなりに好意を持ってもらっている……とは思うものの、十も違う自分と夏祭りを一緒に回って楽しいだろうか。
いや、今はそんなことを考えている場合じゃないとクロムは意識を切り替える。リズの所為で振り回してしまった彼女に、せめて祭りを楽しんでもらえるよう精一杯エスコートしなくては。
そうして歩き出したクロムの足取りは、初めての恋に浮かれる十代の少年のようだった。
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