お花見(現パロ、クロルフ♀、ちびルキナ)
「おとうさま、おはなきれいです!」
きゃらきゃらと、頭上から楽しそうな娘の笑い声がする。さっきまでは最近の好物である苺を地面に落として涙目で落ち込んでいたのに、現金なものだ。
「ああ、今日は暖かいし、風もないから花見日和だな」
「さくら、さくら!」
おしゃまでいながらも、まだ少し舌足らずに喋るルキナは、父親の話を聞いているのかいないのか、ひらひらと舞い散る桜の花びらにはしゃいでしきりに手を伸ばそうとしている。
もう片方の手には花見客を当て込んで並ぶ出店で買ったりんご飴。こちらも落としてまたしょんぼりしなければいいのだが。
「あ、おとうさま。おかあさまがこまってます」
「何だと?」
何かに気付いた風のルキナが指差す方向には、場所取りの為に留守番役を買って出てくれていたルフレと、しきりと彼女に絡んでいるガラの悪そうな若者たち。
微妙に既視感がある光景だ。ところどころ、話し声が聞こえてくる。
「あ、あの、夫と娘が戻ってきますので……」
クロムのことを『夫』と呼ぶルフレに口元がニヤける一方で、せっかくの家族の時間に乱入してきた不届者に対する不快感がむくむくと湧き上がる。同時にくい、と服の襟が引っ張られ、目が合った。
「おとうさま」
「よし、任せておけ」
この時、父娘の心は完全にひとつになっていた。すれ違う人々が何事かと思わず振り返るスピードで愛する妻の下へ駆けつけたクロムは、ほんのひと睨みで若者たちを追い払う。幼い娘からの尊敬の眼差しと、妻からの感謝の抱擁を得て、その後は楽しく一家団欒の時を過ごしたのだった。
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