それからルフレの心はずっと暖かなもので満たされていた。
自警団の宿舎に戻り、待ち構えていたリズとマリアベルにせがまれて耳飾りを見せたら何とも言えない微妙な反応をされて。
クロムは妹とその親友にジト目で詰め寄られ、何故かルフレにも矛先が向かい喧々として。
そんな中で「ま、まあ、もっといいやつは恋人ができたら買ってもらえ」と、全然恋人ができるなんて信じていなさそうな、失礼極まりない口調で軽口を叩かれても。
久々に夕方まで人混みの中を歩き回り、全身がぐったりと疲労を訴えていても。
耳飾りの青い石を見つめれば、理由が分からないながらも自然と頬は緩み、心が安らいだ。
おそらく、この時がルフレの恋の中で一番、穏やかで、幸せな時期だったのかもしれない。
クロムが与えてくれるたくさんのもので満たされ、際限なく膨らんでいくばかりの恋心に気付かないでいられた時が。
――――だから、おもいださないで。
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