――――そして、クロムはその晩夢を見た。
一糸纏わぬ姿のルフレが、男と絡み合う夢だ。
彼女は耳を塞ぎたくなるような淫らな声を上げ、腰をくねらせる。もっとと自分を貫き揺さぶる男にいやらしくねだる様はひどく淫猥で、その爛れた媚態は、クロムの中にある男としての劣情を否が応にも呼び起こした。
彼女を抱いている男の顔は見えない。見ようとしても、全身が石になってしまったようにその場から動けないのだ。
だからクロムは、乱れに乱れるルフレから目を背けることも、快楽に流されたあからさまな嬌声が聞こえぬよう、耳を塞ぐこともできない。
ただ、見ている。見させられている。
半身である彼女が蕩けきった声で喘ぎ、鍛えてはいても、男と比べれば遥かに華奢な身体を跳ねさせる光景を。
その時、ルフレが男の首の後ろに腕を回し、甘く切なげな喘ぎ声を漏らしながら男の名を呼んだ。
「あ、ひ……んぁ、ああっ…くろむ、さ…やぁっ…あぁんっ…!」
ルフレが口にしたのは、クロムの名だった。いいや、それはクロムであってクロムではなかった。
失った半身であり、恋人でもあった女の為にひとり過去へ舞い戻ったもうひとりの『クロム』。何故か異様に自分を敵視している、未来から来た男にルフレが抱かれているのだと理解して、クロムは声にならぬ声で絶叫し目を覚ました。
……寝台の上に跳ね起きた身体は、嫌な汗でぐっしょりと湿っている。
「……っ! はぁ…はぁ……っ」
荒い息と暴れ回る心臓を鎮めようとしても上手くいかない。それどころか、生々しいルフレの嬌声が未だ耳に響いて、皮膚の下を這いまわる色欲を煽った。
その淫らな声に誘われるように、クロムはふらふらと、下腹部の更に下にある『それ』へと手を伸ばす。男の欲望で痛いほどに硬く張り詰めた部分に。
そして、ルフレが縋った夢の中の男に自分を重ねるようにして、想像の中、誰より何より大切な半身を、滅茶苦茶に犯した。
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