囁くもの - 1/5

 

 何かをずっと間違い続けている。そんな気がしてならない。ただ、それが何なのかが分からない。

 分からないまま日増しに正体の掴めぬ焦燥感は強まり、己の中にいる何者かは『もう手遅れだ』と囁く。

 原因どころか、間違えている対象すら判然としないままクロムを苛むその感情は、少しずつ少しずつ、泥水のような濁ったものを心の奥に滴らせ、黒い泉を作りつつあった。

 

 

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