それは、邪竜を打ち倒した英雄であるイーリス聖王クロムが、彼の稀有なる半身を取り戻してからしばらく後のこと。
喜ばしいことというのは続くもので、海を隔てたソンシンでは、女王サイリに待望の第一子が誕生した。
本来王位を継ぐ筈であった兄王子の背信と死により、乱れに乱れた自国の立て直しに奮闘する女王にとっても、民にとってもまたとない慶事。
それを知った諸国の指導者たちの中でも、とりわけ先の戦時中、女王が身を寄せた連合軍を構成していたイーリス、フェリアの両国は、同時にとある招待を受けることとなった。
折しも季節は春。
イーリスでは色とりどりの花々が咲き誇り、フェリアでも長く雪と氷に閉ざされていた大地にいくらか温かな日差しが差し込むようになる、一年で最も華々しい時期。
また、ヴァルム大陸においても、ソンシン周辺にしか咲かぬ稀少な花が、盛りが短いがゆえに鮮烈な美しさで人々の目を奪っていた。
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