改めて思い返してみると、あまりの己の不甲斐なさに泣けてくる。
これを正直にルキナに話しては、彼女の中の父親像に決定的な傷が付きそうな気がする。否、絶対に付く。
ましてマークも一緒に聞きたいと言っていたから、母親であるルフレのこと以外何も覚えていない、やはり未来から来たらしい息子の中で、父親の威厳というものが最初から地に堕ちてしまうのは避けたい。
だが、何でもいいから欲しい物はないのかと言った手前、前言を翻すわけにもいかない。
結局、どうすべきか決めかね、ああでもないこうでもないと思い悩んでいたところをルフレに見つかり。挙動不審な態度を問い詰められ洗いざらい白状させられて。
事情をひと通り聞いた彼女は顔を赤らめ咎めるような目付きでこちらを見たものの、やはりありのままを話すことはできないというのは、クロムと同意見だった。
最終的にはルフレが「私が恥ずかしくて死んでしまいますから駄目ですよ、ルキナ」とやんわり拒絶することでどうにかルキナを諦めさせた。
それでもまだ名残惜しそうな娘に、代わりに「今夜家族四人で一緒に寝ましょう」と提案し話を逸らした妻に対し、聖王代理がさすがは俺の軍師と思ったとか、思わなかったとか。
――――だがしばらくの後、悪戯心を起こしたリズにこっそり渡された『イーリス聖王夫妻の愛の軌跡、そのすべて』と題した絵物語を読んでしまった姉弟が、より一層想像を逞しくしてクロムやルフレに迫り。自棄になったクロムが手合わせをして自分に勝ったら話してやると宣言してしまったものだからルキナもマークも嬉々として挑みかかってきた。
それから当分の間、鬼気迫る表情で鍛錬に打ち込む聖王代理の姿が暫し陣中で目撃されたのだが……それはまた、別の話である。
……And that’s all?
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