ルフレは自分と同じ色彩と、何処か似通った雰囲気を持つ男性をそれこそ頭の上から爪の先まで思わず眺め回してしまった。
隣にいる夫がいたく不機嫌な様子で腰に手を回してくる。
普段の彼女なら、人前でそのように触れられては気恥ずかしさのあまり抵抗するのだが、それすら忘れてしまっている。
そんなルフレの様子を見て、目の前の男性――別世界の<ルフレ>は、居心地の悪そうな、困惑したような顔で口を開いた。
「うーん……。まさか別の世界の僕が女の子で、しかもクロムの奥さんだなんて変な感じだな」
「わ、私も……その、あなたがルキナの……私の娘の恋人だなんてちょっと戸惑ってしまいます」
「……しかも君の世界のクロムは随分独占欲が強いみたいだし、ね」
苦笑する彼の視線は、ルフレの腰に回ったクロムの逞しい腕と、全身を覆うようにぐるぐると巻き付けられている布に向けられている。
その下にある、クロムがつけた紅い印まで見透かされたようで、頬だけでなく耳まで羞恥に染めルフレは俯いた。
「悪いか」
「いいや、大事にしてくれているようで何より。花嫁の父ってこんな気分……というか、僕は君のことをお義兄さんとお義父さん、どっちで呼ぶべきなのかな?」
「呼ばんでいい! 第一、うちのルキナはお前にはやらんぞ?!」
「いやだなあ、クロム。僕は僕の可愛いルキナがいてくれるだけで十分幸せだよ」
「親の前で惚気るなっ!!」
「く、クロムさん落ち着いて下さい……!」
***
「わあ! こっちの世界の母さんもいい匂いがしますーーー!」
「きゃっ?!」
「だ、駄目です駄目です! こっちのルキナさんは僕の姉さんなんですからね?! は・な・れ・て・く・だ・さ・い!!!!!」
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