……英雄が、最期まで英雄でい続けるのは難しい。
聖王クロムでさえも、その稀有な例外にはなれなかったということだろう。
次に即位した聖王<マーク>の御世からイーリスは内乱に突入し、国内の情勢は混迷を深めていく。
因縁深いペレジアは、隣国の屋台骨がぐらついたと見るや大規模な侵攻を開始し、イーリスはその領土の三分の一以上を奪われ大幅に弱体化した。
それ故、聖王クロムに並ぶ英雄であり、のちに彼の子を多く産んだ寵妃ルフレの評価は定まらない。
聖王クロムの異常なまでの寵愛と恋着により幽閉同然の身となりその才を活かす道を奪われ、遂には命を落とした悲劇の女性。
あるいは、聖王国凋落の遠因となった傾国の魔女。
論者によって様々に様相を変える彼女の本当の姿を知る者は、彼女の秘密を守っていた薔薇の茂みも枯れ果てた今、もはや誰もいない。
Under the Rose
王と寵妃 End
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